レコードのサイズと種類を詳しく解説!素材や重さによる違いとは?

レコードの素材や種類がいろいろあるイメージ写真 レコード

近年、アナログ音源が再ブームとなっており、国内外問わず多くのレコードが発売されていますね。

レコードはサイズや回転数、素材や重さによって、収録時間や音質、再生できるプレーヤー等が異なります。

そのため、レコードの種類の見分け方やプレーヤーの選び方が、初心者には若干難しい面もあります。

そこでこの記事では、レコード初心者の方に向けて、レコードのサイズや種類による違いを詳しく紹介します。

レコードのサイズ

3種類のレコードのサイズのイメージ画像

現在一般的に流通しているレコードのサイズは、以下の3種類です。

  • 12インチ
  • 7インチ
  • 10インチ

1つずつ、詳しく見ていきましょう。

12インチ:LP盤・12インチシングル・SP盤

12インチは最も一般的なレコードのサイズで、直径は30cm前後です。

2024年現在発売されるレコードも、この12インチが主流となっています。

12インチレコードは溝を掘れる面積が広いため、長時間録音が可能な点が最大の特徴です。

LP(=Long Play)盤や12インチシングルの他、古いレコードであるSP盤が、この12インチサイズに該当します。

7インチ:EP盤・シングルレコード

7インチは直径17cm前後で、EP(=Extended Play)盤やシングルレコードで多く使われるサイズです。

知っておきたいポイントとして、同じ7インチでも、EP盤とシングルレコードでは中央の穴の大きさが異なります

シングルレコードの方が中央の穴が大きく、俗に「ドーナツ盤」とも呼ばれます。シングルレコードを再生する際には、専用のアダプターが必要です。

一般的にシングルレコードは1〜2曲、EP盤は3〜5曲程度の収録が可能です。

10インチ:SP盤・LP盤

10インチは直径が25cm前後で、SP盤や1940年代後半から1950年半ばにかけて作られた初期のLP盤に採用されたサイズです。

SP(Standard Play)盤は1963年に生産が終了し、10インチLP盤も1950年代以降12インチに取って代わられました。そのため、12インチと比較すると見かける機会は少なくなっています。

とくに10インチLP盤は製造期間が短かったため、希少価値を持つレコードも少なくありません

2024年現在も10インチレコードの製造は続けられており、あえて10インチで新作を発表するアーティストもいる程、今も根強い人気があります。

レコードの回転数の種類

レコードを再生しているイメージ写真

レコードには「回転数」という概念があります。回転数とは、ターンテーブル(=レコードプレーヤー)が1分間に回転する回数を指します。

レコードの回転数には、以下の3種類があります。

  • 33回転
  • 45回転
  • 78回転

なお、回転数は一般的に「RPM」と表記されます。RPMは「revolutions per minute」または「rotations per minute」の略で、「回転毎分」や「回毎分」と訳されます。

33回転:LP盤・12インチシングル

33回転は、主にLP盤や12インチシングルを再生する際の回転数です。その名の通り、1分間に33回転(より正確には33と1/3回転)します。

レコードの盤面に「33RPM」という記載があれば、それは33回転のレコードということです。

3種ある中で最も回転数が遅いため収録可能時間が長く、片面に約30分収録できます。

主に収録曲数の多いアルバムや、1曲が長いジャズ・クラシックといったレコードに採用されています。

45回転:EP盤・7インチシングル

45回転は、主に7インチシングルやEP盤を再生する際の回転数です。その名の通り、1分間に45回転します。

レコードの盤面に「45RPM」と記載があれば、45回転のレコードと判断できます。

33回転と比較すると音量と音質に優れ、代わりに収録可能時間が短くなります

一般的な片面の収録時間は、7インチシングルで約5分、EP盤で7〜8分程度です。

78回転:SP盤

78回転は、SP盤レコードに採用されていた回転数です。片面の収録時間は10インチで約3分、12インチでも約5分です。

一般的に回転数が早いと音質が高まるのですが、SP盤はそれ自体が古く音源そのものの質が劣るため、特別音質がいいというわけではありません。

また、SP盤は本来蓄音機で再生するレコードだったため、レコードプレーヤーで再生するには「78回転モード」を搭載した機種が必要です。

現在では、通常のLPレコードをあえて78回転で切ったレコードも存在します。再生時間を犠牲にして音質を高めたもので、「超高音質盤」等と謳われ、盤面には「78RPM」の記載があります。

レコードの素材の種類

異なる素材やカラーのレコードのイメージ画像

レコードには素材による違いもあります。

素材によって、収録時間や音質、耐久性といった特徴が異なります。

塩化ビニール製(ヴァイナル)

現在一般的に流通するレコードは、塩化ビニール素材を使用して製造されています。

素材の名前をとって「ビニール盤」や「ヴァイナル」とも呼ばれます。

1940年代後半に登場した塩化ビニール製のレコード=ビニール盤は、それまで主流だったSP盤と比較して、耐久性と音質が大きく向上しました。

1950年代後半には、SP盤に代わりレコード市場の主流となります。ビニール盤の登場が、レコードの普及に大きく貢献したとも言われます。

シェラック製

SP盤の主原料は「シェラック」と呼ばれ、カーボンや酸化アルミニウム・硫酸バリウムの粉末を樹脂(=シェラック)で固めた混合物です。

やはり素材の名前を取って、「シェラック盤」とも呼ばれます。

シェラック製のレコードは、1887年に世界初の円盤型蓄音機「グラモフォン」用のレコード盤として登場しました。1950年代後半にレコードの主流がビニール盤に移行したことで、1963年に製造が終了しています。

シェラックはガラスのようにもろい材質だったため、レコード盤に乗せるだけでも慎重さが求められる繊細なものでした。摩耗しやすく、梱包や運搬が難しいことから、SP盤を取り扱わないレコード買取店も珍しくありません

ソノシート(フォノシート)

ソノシート・フォノシートは、通常のレコードと同じく塩化ビニール製ですが、一般的なレコードと比べて極めて薄く、ペラペラで軽いのが特徴です。

片面のみ収録でき、音質もビニール盤と比較すると劣ります。しかし安価で製造できることから、主に雑誌の付録等で1950年代後半に広く普及しました。

一般的なレコードと比べて、薄く強度がないために折り目がつきやすい、歪みが原因で針飛びしやすいといった弱点があります。

基本的にはビニール盤同様、通常のレコードプレーヤーで再生可能ですが、ポータブルプレーヤー等の特殊なプレーヤーでは再生できない場合があります

レコードの重さ

レコードをジャケットから取り出すイメージ写真

レコードには、重さによる違いもあります。

レコードは重量のある方が回転が安定するため、音質に違いが出ると言われています。

通常盤:約130〜150g

レコードの一般的な重さは、12インチで130〜150g、厚みは1.5mmです。

「通常盤」や「1.5mm盤」等と呼ばれることもあります。

レコードの直径によっても重さは変わり、7インチの通常盤は約40g10インチの通常盤は約110gが標準的な重さです。

ただし、生産国やプレス工場によっても、重量に多少のバラつきが出ます。

重量盤:約180g〜210g

「重量盤」や「ヘビー盤」と呼ばれる12インチレコードは、その名の通り通常盤よりも重く、180g〜210gの重量があります。

厚みが2mmであることから、「2mm盤」とも呼ばれます。

重量盤のメリットは、重みにより回転数が安定することと、厚みによりレコード盤の歪みが抑えられることです。そのため、通常盤と比較して、音をより忠実に再現すると言われています。

音質の良さから新作レコードの主流となっている一方で、重量がある分スクラッチの操作がしにくいため、DJにはあまり好まれません。

まとめ

本記事では、レコードの種類について、サイズや回転数、素材、重さに分けて解説しました。

現在主流の12インチLPレコードであれば、流通しているほとんどのレコードプレーヤーで再生できます。ただし、稀に回転数が特殊なものもあるため、レコードの盤面に「33RPM」の表記があるかも確認しましょう。

7インチシングルやEP盤のうち、真ん中に大きな穴が空いているドーナツ盤は、再生にアダプターが必要です。回転数が12インチと異なる点にも注意しましょう。

SP盤は本来蓄音機で再生するレコードなので、通常のレコードプレーヤーでは再生できない場合もあります。再生したい場合は、78回転に対応するプレーヤーを用意しましょう。

レコードの種類や違いを知っておくと、プレーヤー選びやレコードを買う時、売る時にも役立ちます。本記事を参考に、お手持ちのレコードもぜひ調べてみてください。

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